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関係者各位 2007年6月11日
株式会社ジャパン通信社

社説から読み解く日本と世界
第2回「イラク特措法」-全国紙・地方紙35紙調査

新聞、雑誌などの情報検索を行なっている株式会社ジャパン通信社(所在地:東京都中央区、代表取締役:鈴木 和夫)では、全国紙・地方紙の社説を比較調査していくことになりました。
第2回目となる今回は、「イラク復興支援特別措置法」(通称:イラク特措法)の改正について取り上げます。

この法律は、自衛隊のイラクでの活動の根拠になっているもので、時限法です。陸上自衛隊は既にその任務を終えていますが、今回の改正で法律を2年間延長したことにより、航空自衛隊の輸送業務活動が本年8月以降も引き続き可能となります。

大きな議論の的となっている憲法改正のための国民投票法の成立、集団的自衛権の是非など、日本の政治にも大きく関わる事柄です。同時に、一向に改善の兆しが見えないイラク情勢を受け、アメリカ議会では野党民主党が多数派になり、またイギリスでもブレア首相が退任に追い込まれるなど、世界各国の国内政治にも影響が出ています。選挙では争点にしにくいといわれる安全保障問題について、国民の啓発となることをねらいとしています。

なお、記事の解釈は当社の責任であり、あくまで文面のみで行っております。

総論

調査した全国紙・地方紙のうち、25紙が今回の法改正に「反対または慎重的」な見解を出している。「賛成あるいはやむを得なし」としているのは10紙。なお、反対の立場を取る新聞の中には、法案が閣議決定を経て国会に提出された時点と衆議院で可決された段階の2回にわたって取り上げているものもあった。
なお、調査新聞一覧は最後に記す。

論点

この法律(改正)についての主な論点を以下のように分類する。なお1~3は、衆院特別委員会での採決後に政府に対して出された付帯決議に盛り込まれていることからも、この問題の根幹部分と考えられる。

1.イラク戦争開戦を支持した政府の判断
2.自衛隊活動内容の情報開示
3.撤退のための出口戦略
4.日米同盟と外交、国連や他国の動向
5.イラク側の要望
6.日本は何をすべきか
7.なぜ延長は2年なのか
8.野党の対応と責任

反対または慎重的

それぞれの論点に対して「反対」グループがどのように論じているかを抜粋しながら考察する。番号は上記の論点と対応している。

1.


「朝日」5/16:開戦判断の根拠となった情報が誤りや誇張だったことは、米国や英国自身が認めている。大量破壊兵器がイラクに存在しなかったことは明らか。

「東京」4/2:イラクの大量破壊兵器が虚構と判明する展開は、特措法の想定外。虚偽の疑惑情報を信じて戦争を支持した日本は、戦闘に巻き込まれたイラク市民に対しては、道義的責任を免れない。

「北海道」4/3:偽りの情報によって始められた戦争と戦後の統治政策は何をもたらしたか。6万人ともいわれる犠牲者を生み、暮らしを破壊されたイラク国民への責任をどう考えるのか。

「新潟」5/16:開戦当時のイラクに大量破壊兵器が存在しなかったのは明白。主要国で、開戦判断の誤りを認めないのは日本ぐらい。

「京都」5/16:開戦の大義だったイラクの大量破壊兵器情報について、米国のブッシュ大統領自身が誤りだったと認めている。

「愛媛」5/16:各国でイラク戦争の見直しが進むなか、なぜか誤りを一切認めない日本政府のかたくなさが際立っている。きちんと総括し、国民に説明しなければ、法改正への理解は得られまい。

2.

「毎日」5/16:空自の現地での活動内容については詳しい情報が公開されなかった。ただ全体の8割が米軍を中心とする多国籍軍の人員、物資の輸送であることが明らかになった。

「東京」5/16:航空自衛隊の輸送支援は、憲法の制約に反しないことを確認する必要がある。運行の安全確保を盾に、政府が限られた情報しか開示してこなかった事情も、議論の展開を妨げた。

「北海道」5/16:空自の活動状況がきちんと公表されていないのも見過ごせない問題。特措法は自衛隊の派遣先を「非戦闘地域」と定めている。テロや戦闘行為が続くバグダッド周辺は明らかに「戦闘地域」。しかも業務は米兵の空輸が主体。人道復興支援のはずが、米軍のための軍事的後方支援といわざるを得ない。

「京都」4/11:輸送活動の中身については、防衛省が発表している概略の数字ていどしか見あたらない。何をしているのか、国民にはよく見えないのが実態。特措法の範囲を逸脱しないか、本当に復興支援に貢献できているのか、詳しい検証が必要。

「徳島」5/16:政府は空自の業務を「国連の要請に沿った活動」としているが、国連分はわずかで。多国籍軍への支援がほとんど。イラク復興支援に積極的に取り組む姿勢を米国に示す外交戦略的な色彩が濃いとの見方が強い。

「高知」5/17:武力行使との一体化という憲法にかかわる問題はないのか。シビリアンコントロール(文民統制)の関係からいっても。政府は活動内容を詳細に報告する必要がある。

3.

「毎日」3/31:隊員の安全確保も引き続き重要。どういう状況になれば撤退するのかという周到な出口戦略を立てておくべき。

「信濃毎日」5/6:イラク特措法の延長は、日本の安全保障政策、憲法改正の行方を左右する。「乗りかかった船」のまま既成事実を積み重ねるのは問題が多い。可能な限り早いタイミングでの引上げを目指すべき。

「山陽」4/5:空自の撤収にめどを付け、文民支援に切り替えていく出口戦略を真剣に検討すべき。

「中国」5/20:撤収時期について、政府内には「多国籍軍の動向も勘案して判断するべきだ」との意見が強い。これでは、イラク支援よりも日米関係の強化が主眼だと批判されても仕方あるまい。

「琉球」4/1:空自撤収の条件や時期について具体的なシナリオを描く時期にきているのではないか。出口戦略を描けないまま、ずるずると駐留を引き延ばせそうとするなら問題。

4.

「朝日」3/31:多国籍軍に加わった国の多くは、部隊を撤収させつつある。スペインやイタリアは引き揚げ、イギリスまでも夏までに1600人を削減する。西欧勢は減り、主力は東欧や旧ソ連諸国に移ってきた。(中略)日米同盟が大事というのなら、米議会両院の多数が支持する撤退論をどう評価するのか。

「岩手」4/11:日本の外交の現実は、日米同盟が基軸になっていることは否定できない。しかし、与党内からも異論が出ているように、対米配慮一辺倒になっていることは大きな疑問。

「神奈川」4/2:(3/28のアラブ連盟首脳会議で)アラブ諸国の中でも親米的なサウジアラビアのアブドラ国王が、米国のイラク駐留を「正当性のない占領」と異例の表現で批判。アラブ諸国や世界の目は厳しさを増している。

「神戸」3/31:国際社会がイラク復興にどうかかわるか、そのあり方を見直す動きが広がっている。そうした状況下で派遣を続けようとする日本は、突出した存在になりつつある。

「山口」4/5:陸上自衛隊については、小泉純一郎前首相が任期中に撤退を決断したが、航空自衛隊を含めて日本のイラク派遣を終了させることはできなかった。日米同盟を重視したためだろう。ブッシュ米大統領との個人的に親密な関係が影響したのかもしれない。

「西日本」3/31:イランで貸して、北朝鮮で借りる。外交のそろばんをはじく音が聞こえるようだ。(中略)北朝鮮問題で手詰まりの日本側も、各国が最優先と考えてはくれない拉致問題を、核問題と同時に解決するために、米国の強力な後押しを必要としている。

5/15:安倍政権が自衛隊派遣にこだわるのは、日米同盟強化という意味合いが強いからではないか。(中略)集団的自衛権の憲法解釈見直しや在日米軍再編、ミサイル防衛計画など、日米同盟強化に向けた地ならしを着々と進めている。

「琉球」5/16:なぜ政府はイラク派遣の誤りを認めず、かたくなに支援を継続しようとするのか。北朝鮮情勢などをにらみ、対米関係の強化をねらったのだろう。国民の多くは露骨な「対米追従」の姿勢を見抜いているのに、政府は一貫して「日本独自の政策」と強調し続けている。

5. 6.

「朝日」3/31:困り果てているイラクの人々を助ける方法はほかにもある。国内外の避難民支援もその一つ。

「北海道」5/16:政府がしきりに強調したのが、イラクからの(自衛隊派遣の)要請。しかし、4月に来日したマリキ首相がもっぱら訴えたのは経済的支援。日本の報道機関の取材に対しても「今年中にも日本の部隊は必要なくなる」と言明し、文民による復興支援を求めた。

「神奈川」4/2:安倍晋三首相は空自派遣延長について「イラク支援のために日本として責任を果たさないといけない」と述べたが、イラク支援の方法は、さまざまな選択肢があるはず。空自派遣が絶対不可欠とは言えない。

「京都」4/11:復興支援だけなら、日本得意の経済協力という手もある。対米協力、イラク支援とも空自の輸送活動だけが方法ではない。危険が高いと思われるうえ、すでに3年以上も続け一定の役割は果たした。

「神戸」3/31:特措法最大の目的は「イラク国民の生活の安定と向上」への寄与。どんな貢献が「生活の安定と向上」をもたらすか、日本の役割を考え直すとき。5/16:イラクのマリキ首相は、日本には経験と技術を生かした文民による復興支援を求める考えを表明。イラク側の期待と食い違っていることを政府は重く受けとめるべき。

「中国」3/31:いつかは来る米軍の撤退以降のイラク象と日本の役割などを、米国とは距離を一歩おいて冷静に構想しておくことも大事。

「愛媛」5/16:日本が石油の大部分を輸入しているイラクを含む中東の安定が重要であることは言うまでもない。しかし、資源外交の面からも、米国一辺倒でない独自の中東政策を模索していかなければならない。

「西日本」5/15:日本の06年の政府開発援助(ODA)は、01年に米国に抜かれたのに続き英国にも抜かれ3位に転落。憲法で海外での軍事的貢献を禁じているわが国にとって、経済開発や人道支援、環境対策など平和的な目的のODAこそ、日本らしい効果的な国際貢献ではないか。

「南日本」4/4:イラクの内戦状態は力による制圧だけでは収拾できまい。米国もイランやシリアなど周辺諸国との対話に乗り出し、外交努力による解決策を模索し始めた。日本とイランなどとの外交関係は伝統的に良好で、米国を側面支援できる。同盟国としての役割をそこで果たしたい。  

7.


「朝日」3/31:特措法の延長幅を、なぜ2年もの長期にしたのかも説明を聞きたい。与党の中にも、長すぎるとの声があった。

「毎日」3/31:特措法の意義は、期限を区切って情勢に合わせた再検討をすることにある。なぜ1年ではいけないのか。国会承認の手続きをできるだけ回避するという狙いがあるのなら、筋違い。

「山陽」5/16:政府は、延長幅を2年とする理由について「空自による輸送支援を継続的、安定的に続けるためには、ある程度長期的な期限を設定してく必要がある」と説明するが、ずるずると派遣を延ばすことは危険。

「愛媛」5/16:延長2年の背景には自衛隊の海外派遣を随時可能にする恒久法制定の狙いがあり、「戦後レジーム(体制)」からの脱却を目指す安倍首相の思惑が見え隠れしている気がしてならない。

「南日本」4/4:延長を1年にとどめると、来年の通常国会で特措法再延長と恒久法の論議が重なる。恒久法成立の環境整備のための延長幅を広げたというわけだ。
「琉球」5/16:派遣延長期間が2年とされているのも釈然としない。イラク首相は今年中にも必要がなくなると言っているのだから。  

8.

「東京」5/16:限られた審議日程の中、野党側が直接関係のない外交課題を取り上げたり、他の質問者と同じような質問を繰り返す場面もあった。新しい角度から切り込む策がないのなら、参考人を呼んで意見を聞くといった工夫もできたのではないか。

賛成またはやむを得なし

同様に「賛成」グループの論点を整理する。なお、産経、読売以外の各紙は同じ通信社の配信記事を下敷きに書かれているため、同内容については一社のみを取り上げる。

1.

「上毛」4/1:(米国内外だけでなく)日本国内でも、野党だけでなく与党内からも、開戦から一貫して米国を支持し続ける政府の方針に異論を唱える声が出ている。ブッシュ政権が開戦の大義名分をしたイラクの大量破壊兵器が存在していなかったことがはっきりした以上当然のこと。

2.

「読売」3/31: 政府は特措法に基づき、活動内容、実施区域を定めた基本計画を今後は、半年ごとに見直すという。イラクの治安や政治プロセスは不透明。状況の変化には当然、柔軟に対応する必要がある。政府は、改正案法の審議で、空自の活動状況はもとより、今回の派遣延長の目的や意義を丁寧に説明するべき。

3.

該当記述なし  

4.

「産経」3/31:国連安全保障理事会は昨年11月、(日本など25カ国が参加する)イラク駐留多国籍軍の駐留期限を1年間延長する決議を採択した。昨年7月に陸自がイラク・サマワ撤退後、空自部隊が輸送範囲を北部まで拡大しているのはこの決議を踏まえたもの。昨年8月、アナン国連事務総長は「(日本の支援は)国連イラク支援ミッションの機動性を高めている。継続的な支援を期待する」と、謝辞を表明。すきま風が指摘されている日米同盟関係の強化のためにも改正案の早期成立が必要。

「読売」4/1:空自の活動を国連の潘基文事務総長が「職員及び貨物の重要な移動手段」と言うように、国連活動を支える基盤となっている。

「下野」3/31:政府は日米同盟堅持の観点から特措法延長が必要と判断したことを率直に説明して国民の理解を求めるべき。日本にとっても、今ほど米国との強固な同盟関係を必要と擦る北朝鮮の核放棄を実現、地域の安全保障環境を安定させるためには日米の結束が不可欠。拉致問題も米国の理解と協力がなければ進展しない。ここでイラクから空自の撤収を決めることは、日米結束に影を落とす。

5. 6.

「産経」3/31:来日したイラクのハシミ副大統領が空自の活動を「イラク国民のために非常に有効な活動」と語ったことも真摯に受け止めたい。

「読売」3/31:空自の活動を、マリキ首相は「主要かつ死活的な役割」と評価。

「茨城」3/31:政府には空自活動の継続だけでなく、イラク安定化に向けた外交努力の強化を求めたい。米国は遅まきながらイランやシリアとの対話に乗り出した。日本は伝統的にイランなどと良好な関係を維持してきた。関係各国の対話促進に積極的に関与していく姿勢を打ち出してほしい。  

7.


該当記述なし  

8.

「産経」3/31:民主党の小沢一郎代表は特措法改正案に反対し、参院選の争点にする意向を示した。米上下両院がイラク撤退法案を決議したことなどを意識したのだろうが、昨年12月の政権政策の基本方針では「国連平和活動への積極参加」をうたっている。民主党は安保理決議の履行をどう考えているのか。

「読売」3/31:(派遣延長に反対する)民主党の小沢代表は、イラク戦争を「ブッシュ政権のエゴイスティックな行動」と指摘し、「米国の過ちを正していくためにも追随しないという決断」が必要だと主張。何もせずに傍観し、イラクが破綻するのを放置しておいていいのだろうか。民主党は「国連平和活動への積極参加」を掲げている。(空自部隊が乗り入れるイラク北部の)アルビルは国連の拠点であり、空自の活動は国連の要請に基づく。派遣延長反対は、民主党の主張と矛盾している。

「岐阜」4/3:民主党は「イラク戦争は国際社会の合意に基づいていない」として空自撤収を目的とした特措法の廃止法案を提出する方針。いま米軍がイラクから撤退すれば事態はさらに悪化、本格的な内戦に陥る可能性が極めて高い。だからこそブッシュ政権はもがき苦しみながらもイラク駐留を継続し、同盟国にも助けを求めている。  

解説と寸評

反対グループは、虚偽の情報によって始まったイラク戦争そのものに道義がないのだから、空自派遣延長もおかしい。政府はイラクでの活動内容を明らかにしないが、実際は米軍の後方支援なのではないか。イラク側ですら望まない輸送活動ではなく、文民による復興支援や経済協力に切り替えるべきと説く。
一方で賛成グループは、(数紙がイラクに大量破壊兵器がなかった以上、各国でイラクからの撤退気運が高まるのは仕方ないとしつつも)今日本がイラクから撤退すれば、イラクの復興を妨げることになる。日本の派遣は国連安保理の決議に基づいており、イラクからも感謝させている。そして、北朝鮮の問題を解決し、アジアの平和を構築するには日米同盟の結束が必要。よって空自の派遣延長は当然あるいはやむを得ないという立場を取る。
大ざっぱにまとめると、双方の主張は上記のようになるが、すれ違っていて、議論がかみ合っていない印象が拭えない。以下、各項目別に見ていく。  

1.

反対派にとっては最大の問題点であるため、一様に開戦そのものを厳しく指摘する。賛成派は読売・産経を除く配信を受けた各紙が、開戦に至った経緯については誤りがあったと認める。  

2.


これも反対派にとっては重要点。政府の情報開示が不十分、あるいはそもそもなされていないと批判。わずかに明らかになっている情報を基に、人道支援ではなく米軍をはじめとする多国籍軍の後方支援なのでなないかと疑問を呈している。賛成派では唯一「読売」がこの点に言及。特措法延長は必要との立場から、国民に理解を得るために十分な説明をすべきと主張する。  

3.


反対派が、イラクがどのようになったら空自を撤退させるのかという出口戦略を求めるのに対して、賛成派は各紙とも記述なし。空自の派遣が必要とうたうならうたうで、いつかは来る撤退の道筋を提議する必要があるのではないか。   4.
8つある論点の中で、この点については主張が正面からぶつかり合っている。
反対派は、政府は日米同盟を重要視するあまり、米国追従になっているとする。これ以上の同盟強化を狙っているとする新聞もある。
サウジアラビアは親米国でありながら米軍のイラク駐留に反対している例を挙げた「神奈川」や、両国にとってのイラン(核)や北朝鮮(拉致)の問題を取引に使っているのではないかとする「西日本」は独自の視点で目を引く。
逆に賛成派は、日米同盟が重要だからこそ、イラクでの自衛隊活動は必要だとする。北朝鮮の拉致問題で米国との協力が必要、ここで結束を強くしなければならないと説く。国連についても、前・現事務総長が日本の活動を必要不可欠と高く評価していることを取り上げる。
反対派が国連については触れていないのが残念。イラク戦争開戦時に国連では米国や英国などの開戦を支持する国とフランスやドイツの戦争反対派との激しいやり取りが行われた。派遣延長賛成派が、事務総長が日本の活動を高く評価していることや自衛隊の活動は国連安保理の決議に基づいていることを論拠とするのだから、派遣延長反対派も国連での経緯を拠り所とした主張の展開ができたのではないだろうか。  
5.6.

イラク側の要望という点では双方が完全にすれ違っている。反対派はイラクのマリキ首相の「今年中にも日本の部隊は必要なくなる」を引いて、日本が求められているのは、文民による経済支援・復興支援だと述べる。一方の賛成派は、同じイラク首脳の発言の「自衛隊の活動を高く評価」という部分を基としてイラク側も自衛隊の派遣を必要としていると導く。この点については、双方が自らの主張に都合のいい箇所を取り出しているといわざるを得ない。
日本が何をすべきなのかという点において反対派は、文民による復興支援や経済協力をうたうが、具体的な記述はわずかに「朝日」が国内外の避難民支援を挙げるだけで他には見当たらない。また、「西日本」が経済協力の必要性として日本のODA額が第3位に転落していることを引き合いに出している点には一定の説得力を感じる。
なお、派遣延長を是とする賛成派からも、イランなど関係各国との外交努力も忘れてはならないとの忠告が見られた。  

7.

反対派のみが取り上げた点。延長幅を2年にした理由について説明を求める。
各紙とも推測の域を出ないのだが、その中でも、戦後レジームからの脱却を目指す安倍首相の思惑との関係を示唆する「愛媛」の主張は興味深い。  

8.

賛成派とりわけ「産経」「読売」が多くを割いていた点である。両紙とも、民主党が「国連平和活動への積極参加」を掲げていることを安保理決議と矛盾すると批判。(4)で日本の自衛隊派遣は国連の決議に基づいているとする両紙から出てくる批判としては自然だが、そうした批判をしたところで同党はイラク戦争そのものに反対の立場である以上、議論が平行線になることは避けられない。
ところで、反対派の中でも「東京」は野党の国会戦術に疑問を投げかけている。大きな問題を孕む法案でありながら、わずかの審議で衆院を通ってしまったのであれば、それを許した野党の責任というものも当然問われてくる。  

調査新聞一覧

朝日(3/31,5/6)毎日(3/31.5/6)  東京(4/2.5/16)  北海道(4/3.5/16)  デーリー東北(4/5)  岩手日報(4/11)  秋田魁新報(5/17)  神奈川(4/2)  新潟日報(4/4.5/16) 信濃毎日(5/6)  中日(4/2.5/16)  北陸中日(4/2.5/16)  京都(4/11.5/16)  神戸(3/31.5/15)  山陽(5/16)  中国(3/31.5/20)  山口(4/5)  徳島(5/16)  愛媛(5/16) 高知(5/17) 西日本(3/31.5/15)  佐賀(5/20)  熊本日日(3/31)  南日本(4/4) 琉球新報(4/1.5/16) 産経、読売、下野、茨城(以上3/31)  上毛(4/1)  静岡(3/31)  岐阜(4/3)  大阪日日(4/2) 山陰中央(3/31)  大分合同(4/1)

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